何が違うの?JUCIE

JUCIEが他と違うと僕が感じる点──それは「使う楽しみ」「クラブごとの個性」、そしてやはり設計者である松吉宗之さんの存在です。
松吉さんのことはここで語るよりも、ぜひ今後イベントなどで実際に会っていただける機会を企画したいと思います。直接お話を聞いたときに感じるものは、きっと文章では伝わりきらないはずですから。
なので今回は、クラブそのものに絞って書いてみたいと思います。


クラブを車にたとえると…
僕がよく思うのは、車にたとえると分かりやすいということです。
車にはハンドリングが機敏なもの、乗り心地重視のもの、大人数で乗れるものなど、それぞれ特徴がありますよね。JUCIEのクラブもモデル別にその「個性」がはっきりしています。

たとえば──

  • tHウェッジ:安定感と安心感。とにかく“使いやすい”という安心感を与えてくれるモデル。これが僕の原点と言ってもいいです。
  • tTウェッジ:ゴルファーの意図をストレートに反映する、いわば“マニュアル車”的なモデル。それが楽しくも使い易いと感じる方も多いと思います。
  • tQアイアン:球の美しさに特化。打ったボールの飛び姿に思わず見惚れてしまうアイアン。優しさや飛距離よりも美学を感じるモデル。

こうやって並べてみると、本当にキャラクターが分かれているのが分かると思います。


ゴルフ観を変えてくれた
僕自身、ゴルフというゲームを「ミスとのせめぎ合い」だと思っていました。
ミスを減らして、大きな失敗を防ぐ。その中でたまに奇跡的なショットや「今日イチ」の一打が出れば、それを楽しさや喜びに繋がる。多くの人にとって、これがゴルフのイメージではないでしょうか。でも、JUCIEを使い始めてからは、その印象が大きく変わりました。
アプローチのとき、「ここに落としたらこのくらい転がるかな」
「このライなら柔らかい球で寄せられそうだな」
アイアンのとき、「この高さで狙えそうだ」
「ドローでいってみようか、フェードでいってみようか」
そんな風に、“今からこの一打をどうしようか”というイメージに集中するんです。本来は当たり前のことなのに、実際にはなかなかそのような思考にならない。多くの場合「トップしたら嫌だな」「スライスしそうだな」という不安が先に出てきてしまう。それがリアルなところで、僕もそうでした。でもJUCIEを使っていると、不思議とそのネガティブな想像よりも「こう打ちたい」という前向きなイメージの方が強くなるんです。結果、構え方やボール位置も自然に決まって、プレーに集中できる。


設計の奥深さ
これは後から知ったことですが、JUCIEのウェッジは番手ごとに“役割”がしっかり考えられているそうです。「この状況ではこのロフトで打ちやすくなっている」と選べるように設計されている。だから、番手選びの迷いが少なくなって、安心感が生まれる。むしろ「寄せられるかどうか」にワクワクできてしまうことさえあります。もちろん人間のやることなのでミスは出ます。でも、そのときに「今のは自分が悪い・・・」と、クラブへの信頼があるとすぐに諦めがつくようにもなります。諦めがつくと次のプレーにすぐに切り替えられる。こういった事が18H通じてできるのは、長丁場のゴルフゲームにとって精神的にとても良いことだと思います。


シンプルだから伝わるもの
JUCIEの魅力は、派手にハイテクを打ち出すわけでも、素材や製法を誇張するわけでもないところです。一見シンプルに見えるデザインの中に、「ゴルファーの打ちたい打ち方に一所懸命に応える」「ゴルファーをどう楽しませるか」という仕掛けや想いが込められていて、それが現実のゴルフでちゃんと体験できる。だからこそ「ただの道具」では終わらず、「ゴルフをもっと楽しむための道具」になっている。僕は、そこがJUCIEの一番の違いだと思っています。


最後に
こうやって書いてみても、やっぱり文章では全部は伝えきれないです。
結局は、手に取って、打ってみて、「あ、こういうことか」とご自身で感じてほしい。
そしてその背景には必ず設計者・松吉宗之さんの存在があります。クラブから伝わってくる“個性”や“安心感”は、松吉さんの思想そのものなんだと思います。また、今回は僕の主観で綴っていますが、きっと使われる方ごとに感じるものがあるはずです。

「静かな狂気」と出会った日 〜JUCIE松吉氏という人物〜


はじめまして。このブログの編集担当、tKと申します。
レッスンを生業としていますが、JUCIEに関しては、もともとはただのユーザーです。それなりにゴルフの世界にどっぷりハマり、悩んだり、上手くなったり、また落ち込んだりを繰り返してきた、ひとりのゴルファーでもあります。だけど今、こうして「JUCIE」というブランド、そしてその設計者・松吉宗之という人物についてブログを書いているのは、自分でもちょっと不思議な感覚があります。
今回はそんな私とJUCIE松吉氏の出会いを綴っていきたいと思います。ひとつ最初にお伝えしておくと、私は松吉氏、JUCIEというブランドの熱狂的ファンです。ええ、自覚はあります。なので、ちょっと暑苦しくなるかもしれませんが、そのあたりはご容赦を。


出会いは2023年。グリーンを外せばスコアを落とす日々
あれは確か、2023年の年明けごろだったと思います。
当時の私は、「グリーンを外せば1打損する」ような、なんとも不安定なゴルフをしていました。ショットが良ければスコアもそれなり。でも少しでもブレた日には、もうお手上げ。特にアプローチが苦手で、「寄らない→崩れる→諦める」の負のループにどっぷり。そんなとき、お世話になっている方のつながりで、「JUCIEの松吉さんに相談してみたら?」と言われました。
松吉氏――その名前は知っていました。F社で、日本のクラブ設計を世界に知らしめた故・竹林隆光氏の右腕として、そのDNAを引き継いだ人物。相談するには、むしろ畏れ多いくらいの人です。

けど、行ってみました。
で、いきなり「打ってみる?」と言われ、近くの練習場に同行してもらい、モデル別に説明してもらいながら、全ウェッジを試打させてもらいました。
ただ…正直、その時点では、何がどう違うのか、ピンとはきませんでした。
今思えば、私自身がウェッジをまったく理解していなかった。どこを感じればいいのか、どう使えばいいのか、クラブの個性を“感じ取る感性”そのものが無かったんだと思います。
それでも、そのとき一番「なんとなく使いやすい」と感じた60°のtHウェッジ6010Kを購入しました。


ソールを地面に当ててみたら、すべてが変わった
そのクラブが届いた日、ワクワクしながら練習場に行きました。
あのときのワクワクが何に由来していたのか、正直、今でもよく分かりません。新しいクラブを手にしたからなのか、高級な道具を手に入れた所有欲なのか……。

ウェッジを使う前に、頭の片隅に残っていた松吉氏の言葉がありました。
「ウェッジはソール。地面にソールを当てたときに、その人の打ちたい打ち方にマッチするかが大事。」

その言葉を思い返し、意識的にマットにソールを当てて打ってみると――
なんと、簡単にボールの下にヘッドが入る。まるでクラブが勝手にやってくれているような感覚。
「え? こんなに簡単だったっけ、アプローチって?」
なんとも不思議な感覚でしたし、人生で初めて、「ウェッジが楽しい」と感じた日でした。


アプローチが変わると、ゴルフ全体が変わる
その不思議さが確信に変わったのは、1か月後のコンペ。
グリーンは硬く、速く、11.8フィート。今までなら「今日は寄らんわ」と諦めモードになるコンディション。
でも、出だしのPar4。花道からの20ヤードのアプローチが、何の気負いもなく1m程度に寄った。
傍から見たら「普通」のアプローチかもしれません。
でも、自分の中では「え? 普通に打てちゃったけど…」という違和感。しかも、それがその日ずっと続いたんです。

グリーンを外しても、怖くない。
ソールを当てて打てば、勝手にクラブが拾ってくれる。だから落とし所やラインに集中できる。
そしてtHウェッジ6010Kは、スピンを効かせ過ぎず、球足を活かすことを教えてもらっていたのもあり、余計な操作をしなくても狙ったところに自然と寄っていく感覚がありました。

「アプローチって、こんなに安心できるものだったのか?」
それ以来、アプローチの苦手意識が一切消えました。
そして気づいたんです。アプローチが安定すると、ゴルフ全体がめちゃくちゃ良い流れになる。

例えるなら…野球のピッチャーで、守備が超鉄壁になったような感じ。多少打たれても、絶対に誰かが取ってくれる。だから安心して全力投球できる。そんな感覚です。
そして、こうも感じました。
攻めるわけでもない、かといって守っているわけでもない。ただの“つなぎ”でもない。絶対的な土台がある安心感を生む。そんな印象です。

結果、その日は、他のレッスン業をしている先輩が十数人いる中でグロス優勝。
自分でも驚きましたが、それよりも嬉しかったのは、ゴルフがそしてアプローチが楽しかったこと。本当に楽しかった。


松吉宗之という「静かな狂人」
そこからはもう、「なんでこんなに違うんだろう?」という好奇心が止まらなくなり、再び松吉氏のもとへ。
「ウェッジって、そんなに違うものなんですか?」
「ソールの形状って、ここまで影響あるんですか?」
素人質問をバンバンぶつける私に、松吉氏はすべて、丁寧に、物腰柔らかに答えてくれました。でも、話を聞けば聞くほど、私はこう思うようになったんです。


「あ、この人、ちょっと狂ってるな」と。もちろん、良い意味で。

どんな質問にも物腰柔らかに答えてくれるから、そんな印象はまったく受けない。けれど、話の深さを知れば知るほど、どこか“狂気じみた何か”を感じずにはいられません。
僕らが知っているクラブの常識とはまったく異なる次元で、松吉氏はクラブを考えている。まっさらなPCの画面に、ゼロからクラブを描き出していく――その姿を実際に見たことはないけれど、きっとそこは誰も踏み入ることのできない、想いと数字、そして美学の綱渡りを続ける狂気の世界なのだと思います。

私たちが聞かせてもらっている話は、そのほんの一部にすぎない。その奥に、どれだけの思考と設計の海が広がっているのか――想像すらできません。


ブランドから人へ。そして、これからも伝えたいこと
最初はJUCIEというブランドから入りました。
でも今は、松吉宗之という「人」のファンです。
そのおかげで、こうしてブログを書くという機会もいただきました。不思議な縁だなと、今でも思います。

これからも、JUCIEのこと、そして松吉氏のクラブ設計に込めた想いや哲学を、ファンかつユーザー目線で伝えていけたらと思っています。
読んでいただいた方が、松吉宗之の“深海”にダイブしたくなるような、そんな内容にできたら嬉しいです。

それではまた。

tKより