ウェッジ選びの常識をリセットしてもよいのでは? -後編-

前回、ソール性能は単純なソール角度という1次元的な指標ではなく、厚みや幅などの2次元的、さらにはトゥ・ヒール方向での変化など3次元的に判断してほしいというような話をしました。
今回は、その先にある4次元的な性能を意識すると、自分に合う、もしくは、なぜ自分に合わなかったのか、などもっと納得できるウェッジ選びができるのではという内容について話していきたいと思います。


私の考えるクラブ設計の4次元とは?
一般的に3次元とは縦×横×高さで表せる空間のことです。私がゴルフクラブを設計するときは、この空間にどのようなサイズと重さでできているかという物理的な制約の中で、どれだけ希望のショットが打てるようになるかということを、形状や重心性能などを考慮して実現していきます。
そこに、もう1次元加わることになるのですが、一般的な解釈としては、4次元目の軸は時間とされています。すごく簡単に言うと「同じ物体でも時間が異なれば位置を特定できなくなる」というような解釈からです。では、クラブ設計においてはと言うと、単純には使う方のゴルフをしてきた時間の長さ(経験・知識)。そこからくるクラブに対する要求が変化・細分化されていくことを、しっかりと意識して見極めていくことだと考えています。
単純なことでいうと、たとえばアップライトになっているクラブを構えたとき、クラブ通りに手を上げて構える人と、自分の心地よい位置に構えて、トゥを浮かす人。この違いだけでも結果は大きく変わってしまいます。そういった違いが個性なのか経験からくるものなのか、設計しているクラブのターゲット像はどちらの傾向なのか?などを考慮して設計をしたりしています。


佐々木朗希選手とコーチの会話
先の例はわりと単純な内容ですが、それよりももう少し深い部分の経験によるゴルファーの道具の使い方の違いを、いつも妄想に近い考察をしているのですが、そんな考察を具体的に表現していると感じたことがありました。
メジャーリーガーの佐々木朗希選手が、一時期調子を落としていて、そこから復活をした際のインタビュー記事でコーチとのやり取りを話していたのですが、その中で、「どの球種が投げやすいか?」「痛みはあるか?」などという現状確認と同時に、「小学5年生のくらいの時にコーチから言われたことで、守り続けていることはあるか?」と聞かれていたことです。まさにこれが私がクラブを設計する際、またはクラブのおススメを聞かれた際などにさりげなく確認をしたりしていることにとても近く、メジャーリーグの最先端でこのようなことを意識して調整を行っていることに非常に感銘を受けました。


ゴルフ歴の長いゴルファーに合うウェッジ
具体的にお話しすると、ウェッジショット一つをとっても、それがベストな使い方ではないことも多いとはいえ、ゴルファーがそれぞれいつかのどこかのタイミングで、「これだ!」的なひらめきとともに自身の成功体験として大切にしている打ち方を無意識にしているのではと考えています。さらには、練習量も多く、クラブを頻繁に変える方は、そのひらめきを上書きしていればよいのですが、積み重ねている場合も多く、気が付いたときには今使っている道具では必ずしも正解ではない動きを、自身のナイスショットのイメージとして、結果的にミスショットを繰り返してしまうことも多くありそうです。
代表的な例としては、「バックスピンを使って止めるウェッジショット」があります。これは、その時使用していたボール、グリーンの柔らかさや傾斜、芝や小石の噛み具合によって偶然生まれたショットを、常に再現したいと思ってしまいがちです。その思いが強くなると、成功する確率が低いショットへの過度の期待から最終的にイップスになってしまうこともあります。
そんな時に思い出していただきたいのが、ご自身が一番練習をしていた時、無意識にひらめいた打ち方、その時にしていたウェッジショットなどです。無理にスピンショットを打つのではなく、もっとシンプルに寄せていたかもしれません。ボールが全然違ったかもしれません。そんなゴルファーのことを思いながら設計をしたのが、ジューシーtHウェッジシリーズです。このモデルはいわゆるスピン系のウェッジが出る前にゴルフを覚え、多く練習をしていた方々を想定しています。ただその頃のウェッジを再現するのではなく、その頃のウェッジを使っていた人がシンプルなウェッジショットを打ちやすいように設計することを心掛け、構えやすさはしっかりと近年のトレンドを押さえつつ安心できる形状。そして、少し開いて使うことで強烈なスピンもかかる楽しさ。その結果、ゴルフ歴が長い方はもちろん、始めて間もない方でもシンプルに使いやすく良いウェッジになったと思っています。


ひらめきの上書きも大切
その逆に、無意識なひらめきが今打ちたいショットに合っていない場合も多いので、その時は、今ご自身がどのようなショットを打ちたいのかを思い浮かべ、そのショットがやりやすいウェッジは何か?で選ぶことで、最初は少し戸惑ったとしても、新しい「これだ!」というひらめきを得られれば、それは道具とともに進化していく楽しいゴルフライフになると思います。

ウェッジ選びの常識をリセットしてもよいのでは? -中編-

前回、「スピン性能で選ぶときは絶対値ではなく、期待通りのスピンがいつも出るか?」を重視してほしいというような話をしました。
今回は、もう一つの違和感として、「バンス角の数値を優先してウェッジ選びをするのはもったいない」という内容について話していきたいと思います。


ローバンスウェッジは難しい?

ローバンスウェッジというジャンルはいつごろ確立されたのでしょうか・・・
ウェッジがアイアンセットに含まれているのが当たり前だったころ、Swはバンカーで使いやすいお助けクラブでしたし、ストロングロフト化が進み始め、Pwのロフトが40度台になったころから、Swとの間にW、Aw、Gw、P/Sなどと呼ばれるクラブが登場し、単純にはPwとSwの距離差を埋める性能が求められるようになりました。その後、Swに近い悪いライへの対応に特化したクラブや、Pw以上に距離のピッチを刻みやすいアプローチ性能に特化したクラブへと少しずつ進化・変化していったように感じています。
さらに変化が起こり、ウェッジだけのシリーズとして、さらには番手表記ではなくロフト表記となった、いわゆる現在の単品ウェッジと呼ばれるウェッジが生まれました。
それまでは、単品ウェッジと言うと、バンカー脱出に特化したクラブや、チッパーに代表される転がしに特化したクラブなど、お助け機能に特化したクラブばかりでした。
その単品ウェッジを積極的に取り入れたのがプロゴルファーで、さまざまなプレーヤーの要望に合わせていろいろな性能へと変化していきました。その変化の大きな要素は主にソール性能であり、ソールを積極的に使う人や、さまざまな入射角でも邪魔にならないソールを好む人に合わせた性能のクラブが生まれてきました。

そこにさっそうと現れたのが、ハイスピン系のウェッジです。このハイスピン系のウェッジは、スコアラインの鋭さや当時のボールの性能にもよりますが、ソール性能としてはバンス効果が強いものと相性がよかったため、バンス効果が強いモデルが増えました。その流れに乗らず、スピン性能よりも多彩なショットが打ちやすい、バンス効果の弱いモデルを好むプロのために生まれたのが、初期のローバンスウェッジです。
そして、このローバンスウェッジを使っていた人たちが、当時ウェッジワークに長けた方々であったため、その意見を取り入れたウェッジはシャープな性能となることが多く、その結果ローバンスウェッジは難しいという印象が定着していきました。


ローバンス≠バンス角が小さい

ではそもそもローバンスとはどういう意味でしょうか?
私は、「バンス効果が弱い」と言うように説明をしています。単純にバンス角度が小さいとは言いません。しかし、現在のウェッジ選びでは同義としているのが通説です。
少し難しい表現をしてしまいますが、バンス効果の強弱をバンス角度のみで評価するのは、「1次元的」な見方と言えます。角度といっても、何に対してという部分が曖昧で、結局は多いか少ないかで判断してしまいます。それでは本来の性能にたどり着けないので、少なくともウェッジの断面を想像して、その楔形の状態を判断する「2次元的」な見方をしてほしいです。
断面を見れば、ソールの幅・厚みの違いや、ソールが平らか丸いか?さらには、接地位置が前か後ろか?などが見えてきます。角度といっても、例えばロフト56度バンス8度と、ロフト60度バンス12度では、楔の角度は同じであることなどがわかると思います。
これらの性能が、最初はその効果がどう影響するのかわかりにくくても、意識することで少しずつご自身の打ち方に合った条件が見えてくると思います。


さらに理解を深めるには、トゥ・ヒール方向の形状の変化をしっかりと考慮する「3次元的」な見方が重要だと思います。この方向のソールの丸みや、開いたときの変化などに目を向けると、もっとウェッジの持っている本来の性能が見えてくるはずです。
そして、私はその先の「4次元的」な見方を大切に設計しています。この話は次回にしたいと思います。


ジューシーウェッジのラインアップに込めた想い

いろいろとお話ししましたが、これらのさまざまな性能を考慮して生まれたのが、ジューシーのウェッジシリーズで、58度だけを見てもB・S・K・G・Tの5種類があり、それぞれが個性的な性能となっています。特にB・S・Kはバンス角がどれも10度です。角度で選んでしまうとどれも同じですが、バンス効果としては、Sが一番弱く、Bが標準的、Kが少しだけ強めとなっていて、打っていただければ、それはすぐに体感していただけると思います。
Tソールは、バンス効果が特殊で、近い距離でのスピン量が安定して増えることを目的としたバンス効果と、開いたときも程よいバンス効果を発揮します。
そして、Gソールについては、角度は8度ですが、バンス効果はBソールと同程度で、さらにはストレートに使っても開いて使っても、できるだけ同じようなバンス効果を発揮できるよう、微妙な丸み調整を行っています。さらに、今回tTウェッジ2.0として進化する際に、バンス効果を少し強めてKソールと同程度としています。ですので、「バンス角8度だから」「ローバンスだから」という先入観を捨てていただいて、バンス角度の数値ではなく、打ちたいショットに効果的にソールが機能するかという指標で選んでいただきたいという想いを感じていただければと思います。

ウェッジ選びの常識をリセットしてもよいのでは? -前編-

ジューシーの製品としてウェッジに込めた想いと、ウェッジ選びの本質について数回にわけてお話ししていきたいと思います。


ウェッジをスピン性能で選ぶ必要があるのか?
前回、「ジューシーを始めた当初、ウェッジ設計から離れたいと思っていた」と話しましたが、その本質につながる話を最近改めてジューシーのメンバーとしました。

そのきっかけは、実際に30年以上前のゴルフ雑誌の中に書かれていたウェッジ特集を読んだことです。そこには、もっと純粋にゴルファーの感覚を性能へ落とし込む話がたくさん書かれていて、当然のようにバンス効果でスピンをかける話などもありました。その時改めて話に出たことが、「スピン性能が高いボールやウェッジが出る前の頃は、アプローチイップスに悩む人が今よりももっと少なかった印象があるよね。」そして、「ウェッジを使うことに、難しいものを使うというイメージは少なく、バンカーから脱出するための易しいクラブという印象が強かったよね。」というような内容でした。

これがまさに私がウェッジ設計から離れたいと感じていた違和感。「スピン性能が高いウェッジが売りやすい」という市場が出来上がってしまったことに、少なからず私も影響を及ぼしてしまったこと、他には、「ローバンスと呼ばれるウェッジは難しい」という指標が構築されてしまったことも同様です。ウェッジは本来、パターと同様にヘッドスピードに左右されにくい領域なので、ヘッドスピードに関係なく、お助けクラブとして選べれば良いと思います。もちろん私は、スピン性能を追求するだけでなく、使いやすさも追求して設計をしていましたが、聞かれるのは「今度のモデルはもっとスピンがかかるの?」ということばかりでしたし、その反面「アプローチイップスになってしまった」という話もよく聞くようになりました。


アプローチイップスを抑えるには
プロからの自分たちが純粋に使いたいと思うモデルを作ってほしいという要望から、ジューシーのモデルとして新たに0からスタートする際に、本当に使いやすいモデルを作れば、きっとさまざまなゴルファーに喜んでもらえるはずという気持ちが根底にあり、さらにはウェッジショットが楽しくなるようなクラブにしたいと考えていました。そこには、イップスに困っている方にも助けになればと漠然と思っていました。
イップスになってしまう原因・きっかけはいろいろとあるとは思いますが、「自信を持って打った一打が予想と異なる結果になること」が頻発することが大きな要因だと思います。
そこで私は、イップスを抑えるには大きく分けて3つの方法があると考えています。
一つ目は、「まったく違うイメージの物を使う。」です。これはいずれお話しますが、チッパーなどが一番大きな例で、もう少し狭い範囲では、例えば58度1本でいろいろとやっていた人が、55度と60度にしてセッティングを変更するなどが考えられます。
二つ目は「ミスをカバーする安心感のあるクラブに変える」です。これはとても大きなテーマで、最もチャレンジしがいのある性能です。良い解決策が思い浮かんでいますので、いつか製品化したいと思います。
三つ目は「信頼できる道具を使う」です。これが今回お伝えしたい内容で、当たり前のようでなかなか難しいテーマです。


驚きのスピンではなく期待通りのスピン
スピン性能が高まったことが、本当にアプローチイップスが増えた一つの原因と考えてよいと思います。なぜかと言うと、ウェッジのスピン発生メカニズムはとても複雑で、たとえば、60ヤードでスピンが増える性能が、そのまま90ヤードでも30ヤードでも同じ影響を及ぼすかというと、本当はそうでもないのですが、市場には、どこか一部分のスピン性能だけが増えたウェッジが多くなっていると感じていますし、そのようなウェッジを使うと、すごく強烈なスピンがかかったり、突然かからなかったりと、予想に反した結果となることが起きてしまい、それがイップスの始まりに直結してしまいます。

私も、20年以上前に初めてウレタンカバーの球で彫刻溝のウェッジを打った時の強烈なスピンにはとても驚きましたし、上手くなった気がして、それからはスピンで止めるアプローチを多用したくなりました。しかし、そのころからプロの要求は一貫して、ただスピン量を増やすではなく、どのショットの時スピンが足りないとか、このショットの時にスピンがかかりすぎるなど、自身が打ちたいショットが打ちやすいスピン量を求めていました。ウェッジをスピン性能で選ぶことの本質は、商売的なスピンの絶対量ではなく、ウェッジの目的であるいろんなライや距離から出来るだけ狙ったところに球を運べる安定したスピン性能だと私は考えます。ウェッジイップスを心配されている方は、ぜひ一度 いまお使いのウェッジを客観的に見直し、「稀にでた強烈にスピンのかかった良いショット」がどのような状況で打てたのか?他の距離感で同じように打てるのか?再現性はあるのか?ミスをしがちな状況はどんなだったのか?などを整理して考えてみてください。そして、疑いを持つようでしたら、ぜひtTウェッジ2.0 Tソールを試してみてください。このモデルはジューシーフラッグシップと呼ぶように、どのショットでも期待通りのスピンで安定したショットが打てるよう、すべてのノウハウを詰め込みました。いままで、とくにこの想いを伝えていませんでしたが、実際にプロやトップアマも含めて多くの方に、「ジューシーに変えたらイップスが出なくなりました。」といっていただくこと増え、とても嬉しく感じています。

ジューシーmatsu本格始動 〜JUCIEの“生い立ち”〜

皆様、こんにちは。ジューシーmatsuこと、ジューシー株式会社代表の松吉 宗之です。
ご存じの方もいらっしゃると思いますが、2019年9月からFacebookアカウントにて、ジューシーmatsu名義でゴルフクラブの性能や設計者の日頃の思いなど、かなりマニアックな内容を書かせていただいていましたが、今後はこの場所に移動して、いろいろな情報を発信していきたいと思います。


発想の手抜きをしない
初回は、改めてジューシー株式会社を立ち上げた想いについてです。
私がゴルフ業界のキャリアをスタートしたのは、世界的に見てもかなり特殊な“ゴルフクラブ設計会社”でした。自社ブランドの設計だけではなく、多岐にわたるゴルフクラブメーカーのクラブを陰で設計している会社で、その創業者である恩師はクラブ性能を重心位置でとらえ、数値化することで評価・設計するという、今ではわりと当たり前に感じられるようなことのパイオニア的存在の方でした。そんなスタートでしたから、当然、重心性能を設計することでクラブ性能を作り上げることを得意としていますが、それ以上にもっと大切にしている想いがあり、それは恩師との何気ないメールのやりとりの中で書かれていた「発想の手抜きをしない」という言葉です。キャリアが長くなるほど、同じような仕事が増え、それを経験で解決し、失敗のない無難な仕事をしてしまいがちです。特に良い成功体験を得ると、そこから抜け出ることを恐れ、お決まりのパターンのようになってしまいます。そんな時に、ささいなことについてもこの言葉を思い出し、開発者として常に今この手法は良い選択か?など、その手法を初めて考えたときに立ち返り、より良い選択を考え続けています。


あなたに合う新しい性能を
そんな思考の中での大きな決断が、ジューシー株式会社を立ち上げることでした。今までにない性能のゴルフクラブを開発し続けていくという設計哲学を学んでおきながら、自社に限らずゴルフ業界全体がいつの間にか、経済活動のサイクルに合わせた無難なクラブの開発を要求される環境になっているということにモヤモヤした気持ちを抱きました。
マーケティングやゴルファーの皆様の声を多く聞くことで、“こんなクラブが欲しい”とか“あのメーカーのクラブと似た性能を”という思いを取り入れ、真摯(しんし)に応えていく開発。売上をしっかりと意識して計画を立てていくことは、利益を求める会社として当たり前ですし、決して悪いことではありません。しかし、私が培ってきたゴルフクラブ設計は、できなかったことができるようになる、商品ではなく道具としてのゴルフクラブ設計でしたので、1社ぐらいはそのような想いのもと、自由に設計開発をし続ける会社があっても良いのではないか、そうすることで少しでもゴルフクラブの進化や発展に役立てるのではないかと考え、ジューシー株式会社を設立いたしました。
“こんなクラブがあるとは思わなかった”や“どこのクラブにも似ていない”と思っていただけるような、そして使ってみたらこれが自分に合った性能だったんだと思ってもらえるような、未知のワクワクが詰まったゴルフクラブをこれからも生み出していきたいです。


難しいモデルではなく良いショットが打ちやすいモデル
ジューシーブランドを始めるにあたり、当初はウェッジ設計から少し離れたいとも思っていました。今まで単品ウェッジだけでも30機種以上の設計を行い、番手で考えると数百のウェッジを生み出してきました。そのすべてでフェース形状ですら同じものはなく、常に何もないところから3D空間の中に描いてきました。その積み重ねが時には重く感じることもあり、また追い求めてきた性能が本当にゴルファーの役に立ってきたのだろうか?と自問していました。そんな矢先、長年お世話になってきたプロゴルファーの方々から、自分たちの使いたいウェッジがなくなってしまうのはとても困る。なんとか新しいものを作ってもらえないか?とのご要望を多くいただきました。さらには、ボールやコースセッティング・クラブセッティングの変化から、もっと良いショットが打ちやすいウェッジが欲しいとの要望をいただき、その要求はプロそれぞれバラバラだったり、意外と共通していたりしました。それならば、ゼロベースでプロそれぞれの要望に細かく的確に、そしていつでも何度でもすぐに対応できる方法がないかを検討して生まれたのが、後の“tTウェッジ”です。当時はパター以外では珍しかった削り出し製法で作ることで、さまざまなモデルを正確に何度でも供給することができるようになり、それまで以上にプロゴルファーの方々に信頼してもらえるようになりました。このような経緯でプロのパーソナルモデルウェッジとしてtTウェッジが生まれたのですが、それぞれのプロの要求はそのすべてが、“難しいもの”ではなくもっと簡単にミスなく望んだショットが打てるクラブですので、このtTウェッジは決して難しいモデルではなく、イメージするショットに合わせて選んでいただければ、とても打ちやすい性能になっていると思います。